かけた(掛けた・懸けた・架けた・繋けた)

06/09/2014 20:39

動詞かける(掛ける・懸ける・架ける・繋ける)かく(掛く・懸く・架く・繋く)連用形かけ(掛(け)・懸(け)・架け・繋け)」+助動詞」。

用例

木理《もくめ》美しき槻胴《けやきどう》にはわざと赤樫用ひたる岩畳作り長火鉢対ひて話し敵なく一人少し淋しさうに坐り居る三十前後やうに立派何日《いつ》掃ひし剃つたる痕《あと》青々と、見る覚むべき雨後とどめて翠《みどり》匂ひひトしほ床しく鼻筋つんと通り目尻キリリと上り洗ひ髪ぐるぐると酷く丸めて引裂紙《ひっさきがみ》あしらひ一本簪ぐいと留め刺した色気なしつくれど憎いほど烏黒《まっくろ》にてある髪の毛一ト《ふさ》後《おく》れ乱れて浅黒いながら渋気抜けたるかかれる趣きは、年増嫌ひでも褒めずにはおかれまじき風体わがものならば着せてやりたい好みある好色漢《しれもの》随分頼まれせぬ詮議では為《す》べきさりとは外見《みえ》捨てて堅義自慢した装《つく》り方選択《えらみ》こそ野暮ならね高が二子綿入れ繻子襟かけた着て何所《どこ》紅《べに》くさいところなく引つ掛けたねんねこばかり往時《むかし》何なりしやら疎《あら》い糸織なれどとて幾度か潜つて来たなるべし
幸田露伴五重塔」1891-92、
冒頭
「かけた(掛けた・懸けた・架けた・繋けた)」用例(1913)
それ本屋二階だつた二十歳書棚かけた西洋風梯子登り新らしい探してゐたモオパスサンボオドレエルストリントベリイイブセンシヨウトルストイ、……
芥川龍之介或阿呆の一生」1927、冒頭
花山院御時大納言というあった贅肉たまたま姿かりたようによくふとっていたすでに五十であったきこえた色好みには衰えなく夜毎おちこち通った白々明け戻り道きぬぎぬ残り香なつかしんでいるのであろうねもやらずたたずみ朝景色見惚れている姿垣間見たりなどすることがある垣根もと忍び寄って隙見する習いであった怪しまれて誰何受けることあればなき声真似ること古い習いなっていた時々また楽しみなことでしたなど通人ものとも見えぬ香《かんば》しからぬこと言って満悦だった垣根際叢《くさむら》濡らしてしまうことなどかけたこともないたちだった
坂口安吾大納言」1939、冒頭