このたび(此の度・この度)

15/10/2012 08:14

アクセント:こたび]
今度今回こたび。настоящият случай; този път; думата би могла да посочва и близкото минало (наскоро, напоследък, тези дни) или близкото бъдеще
このたびは色々(と)お世話になりました/おめでとうございます このたび左記に転居しました

用例

そんならどうして許し得るというとこのたび殉死した人々の内藤長十郎元続《ないとうちょうじゅうろうもとつぐ》が願っ手段などよいである
森鷗外阿部一族」1913)
弥一右衛門はその日詰所引くと、急使をもって別家している二人を山崎の呼び寄せた居間客間との建具はずさせ嫡子権兵衛《ごんべえ》、二男弥五兵衛《やごべえ》、つぎまだ前髪ある五男七之丞《しちのじょう》の三人そばおらせて主人威儀を正して待ち受けている。権兵衛は幼名権十郎といって島原征伐立派働きして新知二百石もらっている劣らぬ若者であるこのたびことについては、ただ一度に「許し出ませなんだか」と問うたは「うん出ん」と言ったそのほか二人にはなんの交わされなかった親子まで知り抜いているので何も言うにはおよばぬのであった
森鷗外阿部一族」1913)
阿部一族評議このたび先代一週忌法会ために下向してまだ逗留している天祐和尚すがることにした。市太夫和尚旅館往って一部始終話して、権兵衛に対する処置軽減してもらうように頼んだ和尚つくづく聞いて言った承れば一家成行気の毒千万であるしかし政道に対してかれこれ言うことは出来ないただ権兵衛殿死を賜わるなったらきっと助命願って進ぜようことに権兵衛殿すでに《もとどり》払われてみれば桑門同様身の上である助命だけいかようにも申してみようと言った。市太夫頼もしく思って帰った一族もの市太夫復命聞いて一条活路得たような気がしたそのうち立って、天祐和尚帰京とき次第に近づいて来た和尚殿様逢ってするたび阿部権兵衛助命こと折りあったら言上しようと思ったどうしても折りないそれそのはずである。光尚こう思ったのである。天祐和尚逗留権兵衛こと沙汰したらきっと助命請われるに違いない大寺和尚《ことば》でみれば等閑に聞きすてることなるまい和尚立つ待って処置しようと思ったのであるとうとう和尚空しく熊本立ってしまった
森鷗外阿部一族」1913)
数馬そばだてた。「なにこのたびお役目外記《げき》申し上げて仰せつけられたのか
そうじゃ。外記殿殿様言われた。数馬先代出格取立てなされたものじゃご恩報じあれおやりなされい言われたもっけの幸いではないか
ふん言った数馬眉間には深い刻まれた。「よい討死するまでことじゃこう言い放って、数馬ついと起って下がった
森鷗外阿部一族」1913)
数馬傍輩から、外記自分推してこのたび当らせたのだ聞くや否や即時に討死しよう決心したそれどうしても動かすこと出来ぬほど堅固な決心であった。外記ご恩報じさせると言ったということであるこのはからず聞いたのであるが実は聞くまでもない、外記薦めるにはそう言って薦めるにきまっているこう思う、数馬立ってもすわってもいられぬような気がする自分先代引立てこうむったには違いないしかし元服してからのち自分いわば大勢近習うち一人別に出色扱い受けていないには誰も浴しているご恩報じ自分に限ってしなくてはならぬというのはどういう意味言うまでもない自分殉死するはずであったのに殉死しなかったから命がけ場所やるというのである何時でも喜んで棄てるさきにしおくれた殉死代りに死のうとは思わない惜しまぬ自分なんで先代中陰果て惜しんだであろういわれないことである畢竟どれだけ入懇になった殉死するというはっきりしたない同じように勤めていた近習若侍うちに殉死沙汰ないので自分ながらえていた殉死してよいことなら自分よりもさきにするそれほどことにも見えているように思っていたそれにとうにするはず殉死せずにいた人間として極印打たれたのはかえすがえすも口惜しい自分すすぐこと出来ぬ汚れ受けたそれほど加えることあの外記でなくては出来まい。外記としてはさもあるべきことであるしかし殿様なぜそれお聴きいれになった。外記傷つけられたのは忍ぶこと出来よう殿様棄てられたのは忍ぶこと出来ない島原乗り入ろうとしたとき先代お呼び止めなされたそれ馬廻りものわざと先手加わるお止めなされたのであるこのたび当主怪我するなおっしゃるのはそれとは違う惜しいいたわれおっしゃるのであるそれなんのありがたかろう古い新たに鞭うたれるようなものであるただ一刻早く死にたい死んですすがれる汚れではない死にたい犬死でもよいから死にたい
森鷗外阿部一族」1913)