上(うえ)

03/12/2015 18:18

→「うえ(上)

用例

造らず造らず言えりさればより生ずるには万人万人みな同じにして生まれながら貴賤上下差別なく万物たる働きをもって天地あるよろず資《と》りもって衣食住達し自由自在互い妨げなさずしておのおの安楽にこの世渡らしめ給う趣意なりされども広くこの人間世界見渡すかしこきありおろかなるあり貧しきあり富めるあり貴人あり下人ありてその有様相違ある似たるなんぞやその次第はなはだ明らかなり。『実語教、「学ばざればなしなき愚人なりありされば賢人愚人学ぶ学ばざるによりてできるものなりまた世の中むずかしき仕事ありやすき仕事ありそのむずかしき仕事する身分重き名づけやすき仕事する身分軽きというすべて用い心配する仕事むずかしくして手足用うる力役《りきえき》やすしゆえに医者学者政府役人または大なる商売する町人あまた奉公人召し使う大百姓など身分重くして貴きと言うべし
福沢諭吉学問のすゝめ」1872-76、冒頭
  
の如く近來和歌一向に振ひ不申正直に申し候へば萬葉以來實朝以來一向に振ひ不申實朝といふ三十にも足らでいざ是からといふにてあへなき最期遂げられ誠に殘念致しあの人をして十年活かして置いたならどんなに名歌澤山殘したかも知れ不申兎に角に第一流歌人強ち人丸赤人餘唾《よだ》舐《ねぶ》るでも無く固より貫之定家糟粕しやぶるでも無く自己本量ママ屹然として山嶽高き爭ひ日月競ふ實に畏るべく尊むべく覺えず膝を屈する思ひ有之古來凡庸評し來りし必ずなるべく北條憚りて韜晦せしさらずば大器晩成なりし覺え立つにて文學技藝達したらん人間としては下等居る通例なれども實朝全く例外相違無之何故申す實朝器用といふのでは無く力量あり見識あり威勢あり時流染まず世間媚びざる例の物數奇連中死に歌よみ公卿迚も同日には論じ難く人間として立派な見識ある人間ならでは實朝如きある詠みいでられまじく眞淵極めて實朝ほめたなれども眞淵ほめ方まだ足らぬやうに眞淵實朝妙味半面知りて半面知らざりし故に可有之
正岡子規歌よみに与ふる書」1898、冒頭
「上(うえ)」用例(1909)
  どんな方法でもよい自己集中しようすればするほど自己何か浮いてゐるやうに感じるいつたいであらう虚無といふほかない自己虚無一つであるこの限りなく縮小されることができるしかしそれどんなに小さくなつても自己その浮き上つてゐる虚無一つものではない生命虚無でなく虚無むしろ人間條件であるけれどもこの條件恰も一つ一つ泡沫でさへもといふもの離れて考へられないやうにそれなしには人間考へられぬものである人生泡沫如しといふ思想その泡沫條件としてのそして考へない場合間違つてゐるしかしまた泡沫一つものであるやうに人間その條件であるところの虚無一つものである生命とは虚無掻き集めるであるそれ虚無から形成力である虚無掻き集めて形作られたもの虚無ではない虚無人間とはやうに異つてゐるしかし虚無人間條件である
三木清人間條件について」『人生論ノート』1941、冒頭
和辻哲郎初旅」1972)
マッカーサー元帥軍人としてはあらゆる種類共産主義に対してはっきりと反対その故にソビエト・ロシア中国共産党共産主義中国に対する軍事行動についてタカ派態度とりました米国国内政治について保守主義者でしたところが日本について天皇立つ行政最高責任者としてマッカーサー改革への方向元気づける家父長的な態度とりつづけました自身日本について持っていた意見一九五一日本離れて米国議会行なった演説正直に現われていますこの演説によれば日本人一二精神年齢そうですこの演説当時日本新聞発表されてそれまで日本国民に対するマッカーサー元帥善意完全な信頼おくこと慣れてきた日本人怒らせました疑いなくマッカーサー日本人に対して善意持っていたのですがそれ自身主観においておとな一二少年少女に対して持っている種類善意でした
鶴見俊輔戦後日本大衆文化:1845~1980年」1984)