そして 接続詞

27/12/2015 07:51

そうして」に同じ。
冬は去り、そしてまた春が来る

用例

 九月中旬というころ一日自分さる座していたことあッた今朝から小雨降りそそぎその晴れ間にはおりおり生ま煖《あたた》かな日かげ射してまことに気まぐれな空ら合いあわあわしい白ら雲空ら一面棚引くかと思うとフトまたあちこち瞬く間雲切れしてむりに押し分けたような雲間から澄みて怜悧《さか》し気《げ》に見えるごとくに朗《ほがら》かに晴れた蒼空のぞかれた自分座して四顧してそして傾けていた木の葉頭上幽《かす》かに戦《そよ》いだその聞たばかりでも季節知られたそれ春先するおもしろそうな笑うようなさざめきでもなくゆるやかなそよぎでもなく永たらしい話し声でもなくまたおどおどしたうそさぶそうなお饒舌《しゃべ》りでもなかッたただようやく聞取れる聞取れぬほどしめやかな私語であったそよ吹く忍ぶように木末伝ッた照る曇るじめつくようす間断なく移り変ッたあるいはそこありとあるすべて一時微笑したように隈なくあかみわたッてさのみ繁くないほそぼそとした思いがけず白絹めくやさしい光沢《つや》帯び地上散り布《し》いた細かな落ち葉にわかに映じてまばゆきまでに金色《こんじき》放ち頭《かしら》かきむしッたような「パアポロトニク」(類いみごとなしかも熟《つ》えすぎた葡萄めく帯びた際限なくもつれからみして目前透かして見られた
 長いこと物蔭にはまだ殘つて居り村端れ一片《ひとつ》青んでゐない晴れたそことなく霞んで雪消《ゆきげ》泥濘《ぬかるみ》處々乾きかかつためいた薄ら温かく吹いてゐたそれ明治四十四月一日ことであつた
 學年始業式なので、S尋常高等小學校代用教員、千早健《ちはやたけし》平生より少し早目に出勤した白墨《チヨオク》汚れた木綿紋附擦り切れた長目穿いてクリクリした三分刈帽子冠らず――帽子有つてゐなかつた。――亭乎《すらり》とした眞直にして玄關から上つて行く早出生徒毎朝控所彼方此方から驅けて來て恭しく迎へる中には態々叩頭《おじぎ》する許《ばつか》り其處待つてゐるあつたその殊に多かつた平生三倍四倍……遲刻勝な成績惡いさへ交つてゐた。健直ぐ其等心々溢れてゐる進級喜悦想うたそして何がなく曇つた
 その解職願してゐた
「そして」用例(1930年代)
「そして」用例(1940年代)
 彼等自己作品一字書くとするそしてありのまま語るとする。(実際彼等大部分形式でも使用避けている)。それら今まで私小説作家比べたらとてもとは考えられぬほど膨脹変色異様なまでから離脱して行こうとする複雑な生物見えるそれら遠距離から操縦される無人ロケット機ように動くこともある死体解剖するメスようにはたらくこともあるその時々これら運動捕えるためには作家いわば絶えず極大世界から極微世界飛び移る覚悟するように風圧熱度地球自転による対象変化測定していなければならないであろう私生活記録という一見安定した苦業かくしてこれらたち活動によって内側から破られしかも外界宇宙線絶え間なく吸収することによって不安定だ未来性ある試煉ならねばならないこのような並立状態宇宙拡散した群れように眺められる場所我々立っているわけであるそのような景観一度接してしまった以上逆にそれに接する文学的個人とは全く別な以外存在許されないのだ称してもよいしたがってこの登場する小説表現形式拡大変革求めるのは伝統断続するというこましゃくれた野望からではなくきわめてささやかな日常感覚から発しているのだ確信できるのであるこれらたちにとって風俗風俗としてうけとめ書き流す小説横行まるで別世界できごとように淡い哀愁ともなって感ぜられてくるのも致しかたないことであろう
武田泰淳ささやかな感想--戦後作家並立について1952
  戦国末期ポルトガル船わが国来航によって極東島国日本はじめて世界史とりこまれることとなったこの段階西欧人メキシコペルーわかるように凶暴きわまりない存在であった)。近世初頭世界史とりこまれたという初体験もとどのように生きてゆくという難問日本必死努力をもって対応した時代であるそして鎖国という体制その解答であった
  “鎖国という言葉もつ語感からわれわれわが国この行為によって諸外国にたいして閉ざして貿易交通さえしなかった誤解しがちである鎖国ほうそのよりわが国対外貿易額増えているのであるまた江戸時代鎖国なるもの誤解しないためには国家というものどんな時代でも密度差異ともかくとして必ず鎖国体制対外管理体制とるものであること承知しておく必要あろう
  “鎖国とは一度とりこまれた世界史《しがらみ》から日本離脱することではなく圧倒的な西欧諸国との軍事力文明力落差もと日本主体的に世界接触するため手段であったつまり鎖国とは鎖国という方法手段によるわが国世界への開国であったすべきであろうしたがって寛永鎖国こそ日本世界への第一次開国であり開港という言葉呼ばれている安政開港江戸時代という時代錬成経たわが国第二次開国であったすべきである
大石慎三郎江戸時代」1977)
武器?」
中略
(宮部みゆき「東京下町殺人暮色」1994)
 寒さ緩み陽気感じられるようになってきました季節サクラをはじめウメモモなど多く木々咲かせます
 ところでこれらなぜ一斉に咲くのでしょうなんて暖かくなれば咲くものだと思うかもしれません確かに気温上昇重要ですただ皆さん咲かせるいつその準備しているご存じです実は開花するにはすでにとなる花芽《はなめ》)作られ咲かせる準備できているのですそう考えるまで待って一斉に咲くというのは不思議ではありませんか一体どういう仕組みなのでしょう
 サクラウメなど成長抑える休眠物質作りますそれ花芽たまる落ち花芽休眠という期間入りますこの期間花芽成長しません休眠から目覚めるには一定低温期間経験すること必要です。「一定低温期間とはどれくらいというそれによって違うことわかっています例えばサクラソメイヨシノでは5前後気温900時間必要だされていますそして休眠から目覚める成長抑えていた休眠物質減り始めますそれなくなる成長再開なって一日平均気温1213なる開花するのです
 一斉に咲く仕組みわかりいただけました私たち寒さ去るのを待つばかりです咲くためにはその寒さ必要なものなのです
(記事、2012冒頭
[発表年未詳]
 人間たよるやうになつてもうよほど久しいことであるのにまだ根気よくそれやつてゐるたより縋り崇め拝むこの心から城壁祭壇神像殿堂作られたいつまでもこの世留めたいと思ふ作るために東洋でも西洋でもあるひは何処《はて》でもから人間努めてゐる姿目ざましい死ぬそのまま地びた棄てておいても膿血腐肉流れつくしただけ似て永く遺るべき素質であるのに遺族友人称へるもの集つて点けて焼くせつかくまで粉々に砕けてしまふそれ拾ひ集めて底深く地中埋めてその上いかつい四角な立てる御参りするといへばまるでそれ故人であるやうにその拝むそしてその大きいほど貞女孝子褒められる貧乏ものこんなでも孝行むづかしい
会津八一/會津八一(1881-1956)「一片冒頭
 昨日所謂彼岸中日でした吾々やうに田舎住むもの生活これから始まるといふです東京市中離れた此の武蔵野最中住んで居るから今日片寄せてある取り出してこの楽しむ為に根分しようとして居るところです実は久しいこと作つて居るのであるが二三年間思ふあつてわざと手入れしないで投げやりに作つて見た一体と云ふもの栽培法調べて見る或は菊作り秘伝書とか植木屋口伝とかいふものいろ/\とあつてなか/\面倒なものですこれほど面倒なものとすれば到底素人には作れないと思ふほどやかましいものですそして色々な秘訣守らなければ存分に立派な作られないといふことなつて居るところが昨年一昨年あらゆる菊作り法則無視して作つて見たたとへば早く根分けすること植ゑるには濃厚な肥料包含せしめなければならぬことなるべく大きなもの用ゐること五月七月九月摘まなければならぬこと日当りよくすること毎日一回乃至数回与へなければならぬことなつて肥料追加雑草除くことなどまだ/\いろ/\心得あるにも拘らず二三まるでやらなかつた根分やらず小さい植ゑた儘で取り替へせず摘まず勿論途絶え勝であつた云はゞあらゆる虐待薄遇とを与へたのだそれでもなるらしくそれ/″\出て綺麗な相当に優しい見せてくれたそれで考へて見れば栽培といつても絶対的に必須なものでもないらしい手入れすれば勿論よろしいしかし手入れ無くとも咲く植木屋などよく文人作りなどつけて売つて居るのはなどから見ればいつも少し出来過ぎて居てかへつて面白くない咲いた天然美しさより多く惹かれぬでもない