する(為る)
27/04/2012 03:52
[動サ変][文「す」サ変]
[活用は、口語では「し・せ・さ/し/する/する/すれ/しろ」、文語では「せ/し/す/する/すれ/せよ」。各活用形のうち、口語の未然形は、「し」には助動詞「ない」「よう」が、「せ」には助動詞「ず」「ぬ」(打ち消し)が、「さ」には「れる」「せる」がそれぞれ接続する。使役や受身の助動詞が付く時(サ変複合動詞のうち語尾が濁るもの以外)、「せさせる」「せられる」となるはずであるが、多く「させる」「される」のようになる。この「さ」は未然形として扱うことになる。命令形は、古くから「せよ」が用いられ、現代でも文章語的な言い方としては用いられることがある。一方、中世後期から「せい」が用いられるようになり(今日でも関西方言で用いられる)、近世江戸語以降は「しろ」が用いられるようになった。文語の場合、過去の助動詞「き」の接続は変則的で、終止形「き」には連用形「し」が続いて「しき」となり、連体形「し」および已然形「しか」には、「せし」「せしか」のように、未然形「せ」から続く。「する」は、語種(和語・漢語・外来語)を問わず、名詞・副詞や形容詞・動詞の連用形な どと結びついて、(1)~(7)のように様々な複合動詞をつくる。(1)うわさする・びっくりする・おともする。(2)勉強する・運動する・練習する・研 究する。(3)リードする・スケッチする・ノックする。(4)重んずる・軽んずる・先んずる。(5)察する・達する・決する。(6)感ずる・信ずる・論ず る・応ずる・案ずる・生ずる・通ずる。(7)愛する・熟する・服する・訳する・解する・略する。これらのうち、(4)と(6)の諸動詞は、語幹が1字の漢 字のものであり、すべて「ずる」となるから、ザ行変格活用ということになる。文語の場合もほぼ同様である。現代語では、サ変の 複合動詞のうちには、サ行(ザ行)変格以外の他の活用として用いられるものもある。すなわち、(4)(5)(6)の諸動詞は、「重んじる・先んじる、察し る・達しる、感じる・信じる・論じる・応じる・案じる・生じる・通じる」などのように上一段活用としても用いられる。(7)の諸動詞は「愛す・熟す・服 す・訳す・解す・略す」などのように五段活用としても用いられる。]
[アクセント:するガ]
1.
[「…(を)する」の形で。]
1-1.
[動作性の名詞を受けて。多くの場合、その名詞を語幹とするサ変動詞も存在する。]
ある動作・行為などを行う。意図的にそれを行う場合から、ある状態や結果になるような動作・行為を行う場合、結果としてある事を行ってしまったり望まないのにそうなったりする場合など、様々に用いられる。
勉強/仕事/散歩/買い物/ 運転/いたずらをするуча/работя/разхождам се/пазарувам/шофирам/прявя пакости 機敏な動きをする いま何をしてるの?Какво правиш в момента? 自分だけ楽をする 損をするпретърпявам загуба 得をする やけどをするизгарям се 下痢をするимам разтройство
1-2.
ある職務・ポストに従事する。ある役割を努める。
司会/仲人をする 彼は料理長をしている 昔、商売/学生/アルバイトをしていた時のことなんですが
1-3.
[(…に)…をする」の形で。]
装身具などを身につける。
ネクタイ/指輪/ネックレス/ピアス/鉢巻/マスクをするслагам вратовръзка/пръстен/огърлица/обици/лента за глава/маска
1-4.
人や物がある形・色・性質・状態である。また、人がある服装・顔の形・表情である。
こわい顔をしてにらむ 緑色の目をした女性жена със зелени очи いい体格をしているимам хубаво тяло 鋭い目をした男мъж с остър поглед 無邪気な顔をした子どもたちдеца с невинни лица
1-5.
[動詞の連用形に付いて、いったん名詞化されたものを再び動詞化する。多くは古語で打ち消し表現に用いられた。]
恋する 尽きせぬ想い 絶えせず
2.
[多く「…を…にする」「…を…とする」の形で。]
2-1.
ある人をある身分にする。ある地位につける。あるものに育て上げる。
子どもを教師にするправя детето си учител 犬や猫を友として暮らすживея с куче и котка за другари 子どもを相手にして遊ぶиграя си с дете
2-2.
ある物をある用途に使う。
かばんを枕にして寝るспя, като използвам чантата си за възглавница 釣った鮎を肴にして飲むпийвам с уловената рибка аю за мезе
2-3.
ある物を…に変化させる。
小切手を現金にするосребрявам чек 大豆を臼でひいて粉にする
2-4.
を…と見なす/考える。…扱いする。
この話はなかったことにしてください。Считай, че този разговор не се е състоял. 馬鹿にするにもほどがある。И това да правиш някого на глупак си има граница. こけにされた。Направиха ме на глупак. 失敗を教訓として生かす
2-5.
自分で…を…と思う、感じる。
旅行を楽しみにするочаквам пътуването с нетърпение 君を頼りにしている。Разчитам на теб.
3.
[形容詞・形容動詞の連用形に付いて。]
その状態にならせる。その状態を出現させる。
髪を短くするскъсявам/подстригвам си косата 道を広くするразширявам пътя 状況を明らかにするизяснявам обстоятелствата 静かにしてください。Моля, бъди по-тих. 少し彼の負担を軽くする方法を考えよう。Да помислим за начин да облекчим товара му.
4.
決める。решавам
4-1.
[「…ことにする」「…こととする」の形で動詞・助動詞を受けて。]
…ことを決意する。…ことに決める。
留学することにした。Реших да уча в чужбина. もう彼女には相談しないことにする。Решавам повече да не се допитвам до нея.
4-2.
[「…にする」の形で名詞・代名詞を受けて。]
選び出して…と決める。избирам; решавам
コーヒーにする?紅茶にする?Какво реши - кафе или чай? これはとりあえず取りやめにしよう どれにしようかな。かみさまのいうとおり。[子どもの数え遊び]
4-3.
[動詞の終止形を「と」で受けて、また、名詞を「と」「に」で受けて、「…とする」「…にする」の形で。]
それまでの動作を打ち切って新たな動作にとりかかる。
そろそろ出かけるとしよう もう寝るとしよう 晩御飯にしましょう
4-4.
[「…とする」の形で状態性の名詞を受けて。]
…と判定/決定する。
よって被告を無罪とする 本委員の任期は二年とする
4-5.
[「…とする」の形で、文語形容詞の終止形を受けて。]
…と判断を下す。…と思う。
まあ一応これでよしとするか その決定を良しとしない者たちが怒った これ以上職にとどまることを潔しとせず、辞職する
4-6.
[「…とすると」「…とすれば」「…にしては」などの形で。]
…と仮定/前提/措定する。…と一応決める/見なす。
今この瞬間M7以上の地震が発生したとすると、Ако приемем, че сега, в този момент, стане земетресение с магнитуд 7, 初めての作品だとすれば上々の出来だろう 失踪した父も、まだ生きているとしたら今年80になるはずだ。Ако приемем, че изчезналият ми баща е още жив, тази година трябва да навърши 80 години. 彼は日本人にしては背が高いほうだ。Той е висок за японец. 友をよきライバルとしてともにがんばる 冬にしては妙に暖かい日が続く
4-7.
[「…ものとする」の形で動詞・助動詞を受けて。]
[法律・規則の文章などで]
…と決める/定める。
今後は本規則の定めに従うものとする 授業料は学期開始までに納めるものとする
4-8.
[「…とすれば」「…にしては」「…としては」「…としても」「…としての」などの形で。]
その立場/レベル/段階で考えると。
君とすればそう言いたくなるのも無理はない 私としてもそのほうがありが たい 彼にしてはおかしな文章だな プロとしての責任отговорността като професионалист 親としては子どものことを心配するのは当然だ。За един родител е нормално да се притеснява за децата си.
4-9.
[「…としたことが」の形で。]
この/あの…が不覚にも。
君としたことが、どうしたんだ、こんなへまをして 私としたことがとんだ失礼をいたしまして
4-10.
[「…うとする/ようとする」の形で動詞・助動詞の未然形を受けて。]
4-10-1.
ある動作にとりかかる。ある行為を今にもしそうになる。
出かけようとしたら雨が降ってきた。Тъкмо когато щях да изляза, заваля дъжд. 寝ようとしたら電話がかかってきた。Тъкмо щях да си лягам, когато телефонът звънна. 犬が喜んで跳びついてこようとした
4-10-2.
あることがらが行われるところである。ある出来事が始まりかかっている。もう少しである作用・状態が起こりそうになる。
まさに朝日が昇ろうとしていた ブルガリアに来てそろそろ5年が過ぎようとしている 車輪がまさに滑走路を離れようとした時機体が奇妙な振動を起こした
4-11.
[「…にしても」「…としても」の形で。]
そのような場合でも、の意を表す。
どんなに急いだとしても、あの渋滞では間に合わなかっただろう。Колкото и да беше бързал, в това задръстване нямаше да стигнеш навреме.
5.
[「…がする」の形で名詞を受けて。]
ある状態・現象・感じなどが知覚された時、受け手の立場からではなく、そのもととなった現象を中心に表現する言い方。
なんか変な音/物音がする。Чува се някакъв странен звък/шум. いい香り/匂いのする花звете, което ухае хубаво おかしな味がする 頭痛がするболи ме главата 寒気/悪寒/動悸がする 誰だってほめられれば悪い気はしないものだ 地鳴り/稲光がする
6.
[事物の状態などを表す副詞を受けてそれを述語化する。]
そのような状態になる/である。
あっさり(と)した味 がっしり(と)した骨組み 子どもは疲れてぐったり(と)している 今日はゆっくりしていって下さいね ぞっとする光景 彼女がもてるのは男好きのする顔だというだけのことだ
7.
[数量を表す語に付く。]
7-1.
[時間を表す語に付いて。]
ある時刻を起点にして、その時間が経過する/経つ。
この雨は数時間もすればやむでしょう。Като минат няколко часа дъждът сигурно ще спре. ただの風邪だ、2.3日もすれば治るだろう。Само настинка е - като минат 2-3 дни ще се оправи. 買ってからまだ1年もしないのにもう故障した。Не е минала и година откакто го купих, а вече се повреди.
7-2.
[価格を表す語に付いて。]
買い手の立場から、その値段である。あまり安くない場合にいうことが多い。
これ、いくらしたの?Това колко струваше/беше? 1千万円もする高級車класна кола, която струва цял милион
7-3.
[人数を表す語に「…て」の形で付いて。]
その人数で一緒にある動作をすることを表す。
二人して、どちらへお出かけ? 家族みんなして働く農家
8.
[「…(と)して」「…(と)すると」「…(と)すれば」「…(と)したら」などの形で、副詞を述語化して用いる。]
依然として もしかして/すると/したら ひょっとして/すると/したら ややもすれば/すると ともすると/すれば 頑として譲らない 時として
9.
[補助動詞]
9-1.
[動詞の連用形、または、サ変複合動詞の語幹に、助詞「は」「も」「でも」「さえ」「こそ」などを伴ったものに付いて。]
その動詞の意味、またはその動詞の打ち消しの意味を強める。
一応知らせはしたが、彼が来てくれるとは思っていないよ こっちを見もし ない 彼はよく知りもしないことをいつもえらそうに言う こじらせでもしたら大変だから用心しよう ずっといてくれなくてもいい、顔をさしてくれさえすれ ばいいんだ 始まりさえすればこっちのものだ 一応書き終えこそしたものの、とてもじゃないが満足できる出来ではない 感謝こそすれ、あなたを恨むわけが ないでしょう
9-2.
[動詞の連用形を重ねたもの、あるいは種々の語に並列を表す「なり」「たり」「も」「か」「し」「つ」などを添えたものに付いて。]
叙述を助ける働きをする。
なだめなだめして子どもを歩かせる あっちで見聞きしたことで何か面白い 話ない? いつも寝起きする部屋 いらなければ捨てるなり人にやるなりしてくれていい 病み上がりなので一日中寝たり起きたりしていた このレストランは 日によって満員だったりがらがらだったりする 逃げも隠れもしない 風邪をひいたか疲れからかして、体がだるい 子どもは泣くし、僕も頭痛がするしで、結局タクシーに乗った スパートでランナーたちは抜きつ抜かれつしながら一段となってゴールになだれ込んだ
9-3.
[接頭語「お」「ご」の付いた動詞の連用形、または、サ変複合動詞の語幹に付いて。]
謙譲の意を表す。
お届け/お供/お電話する ご案内する お世話になった人をご招待する おかばんをお持ちしましょうか
→足を棒にする・遊ばす・家を外にする・致す・意とする・営む・内を外にする・うとする・海を山にする・公にする・行う・己を虚《むな》しゅうする・玩具《おもちゃ》にする・肩で息をする・気にする・軌を一《いつ》にする・揆《き》を一《いつ》にする・客 をする・苦にする・臭い物に蓋《ふた》をする・口にする・首を長くする・言《げん》を左右にする・虚仮《こけ》にする・心を一《いつ》にする・心を鬼にす る・異《こと》にする・小馬鹿《こばか》にする・杯《さかずき》をする・される・辞《じ》を低くする・すまじきものは宮仕《みやづか》え・する事なす事・袖《そ で》にする・為《ため》にする・手にする・仕《つかまつ》る・徳とする・亡き者にする・なさる・為《な》す・馬鹿《ばか》にする・鼻を高くする・懐にする・本気にする・枕《まくら》を高くする・身を粉《こ》にする・水にする・耳にする・無にする・無下《むげ》にする・目にする・目を皿にする・目を三角にする・目を丸くする・物ともせず・物にする・遣《や》る・ようとする・横の物を縦にもしない・余所《よそ》にする・諒《りょう》とする・労を多とする・悪くすると
用例
5.
(夏目漱石「儲口」『永日小品』1909、冒頭)
9-2.
秋九月中旬というころ、一日自分がさる樺の林の中に座していたことがあッた。今朝から小雨が降りそそぎ、その晴れ間にはおりおり生ま煖《あたた》かな日かげも射して、まことに気まぐれな空ら合い。あわあわしい白ら雲が空ら一面に棚引くかと思うと、フトまたあちこち瞬く間雲切れがして、むりに押し分けたような雲間から澄みて怜悧《さか》し気《げ》に見える人の眼のごとくに朗《ほがら》かに晴れた蒼空がのぞかれた。自分は座して、四顧して、そして耳を傾けていた。木の葉が頭上で幽《かす》かに戦《そよ》いだが、その音を聞たばかりでも季節は知られた。それは春先する、おもしろそうな、笑うようなさざめきでもなく、夏のゆるやかなそよぎでもなく、永たらしい話し声でもなく、また末の秋のおどおどした、うそさぶそうなお饒舌《しゃべ》りでもなかッたが、ただようやく聞取れるか聞取れぬほどのしめやかな私語の声であった。そよ吹く風は忍ぶように木末を伝ッた。照ると曇るとで、雨にじめつく林の中のようすが間断なく移り変ッた。あるいはそこにありとある物すべて一時に微笑したように、隈なくあかみわたッて、さのみ繁くもない樺のほそぼそとした幹は思いがけずも白絹めく、やさしい光沢《つや》を帯び、地上に散り布《し》いた、細かな、落ち葉はにわかに日に映じてまばゆきまでに金色《こんじき》を放ち、頭《かしら》をかきむしッたような「パアポロトニク」(蕨の類い)のみごとな茎、しかも熟《つ》えすぎた葡萄めく色を帯びたのが、際限もなくもつれつからみつして、目前に透かして見られた。
ピトロクリの谷は秋の真下にある。十月の日が、眼に入る野と林を暖かい色に染めた中に、人は寝たり起きたりしている。十月の日は静かな谷の空気を空の半途で包《くる》んで、じかには地にも落ちて来ぬ。と云って、山向《やまむこう》へ逃げても行かぬ。風のない村の上に、いつでも落ちついて、じっと動かずに靄んでいる。その間に野と林の色がしだいに変って来る。酸いものがいつの間にか甘くなるように、谷全体に時代がつく。ピトロクリの谷は、この時百年の昔《むか》し、二百年の昔にかえって、やすやすと寂びてしまう。人は世に熟れた顔を揃えて、山の背を渡る雲を見る。その雲は或時は白くなり、或時は灰色になる。折々は薄い底から山の地《じ》を透かせて見せる。いつ見ても古い雲の心地がする。
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