格助詞・接続助詞・終助詞

29/12/2015 18:50

1.
格助
体言および体言に準ずるものに付く。1-1.は、古語では従属節の主格表現にのみ使用されたが、中世の頃より用法が広まり、一般に主格を表すのに用いられるようになる。1-2.は、中古末期に生じた。対象語と呼ぶ説や連用修飾語とする説もある。1-3.は、現代語では、文語的表現や、「それがために」などの慣用的表現に使われる。なお、1-1.1-4.において、古語では、人名や人を表す体言に付く場合、「」に比べて、「が」は、その人物に対し、親愛・軽侮の気持ちを伴い、「」とは区別されると言われる。1-5.は、上代に限られ、連体格助詞から主格助詞への過渡的用法とみられる。1-6.は、連体格または体言相当句中の主格を示すものとみる説もある。]
1-1.

動作・
存在・状況の主体・主格を表す
向こうに小川がある。Отсреща има малка река. そこは水がきれいだ。Там водата е чиста. 風が吹き、緑が美しい。Вятър духа, зеленината е красива. 僕が行こうか。Да дойда/отида ли аз?
1-2.

希望・好悪・能力などの対象を示す。
リンゴが食べたい?Искаш ли да ядеш ябълка? ママもリンゴが好きよ。И мама обича ябълки. 一人でリンゴが買える?Можеш ли сам да купиш ябълки?
1-3.

[下の
名詞を修飾して。]
連体修飾格を表す。所有・所属・分量・同格・類似などの関係を示す。「の」と同じ。現代語では
文語的表現のみに用いる。
1-3-1.
所有を表す。の持つ。のもの。изразява притежание
我らが母校нашето (родно) училище 我が国нашата страна 梅が香
1-3-2.
所属を表す。のうちの。изразява принадлежност
1-3-3.
分量を表す。
1-3-4.
同格を表す。という。
1-3-5.
類似を表す。のような。
1-4.
準体助詞的に用いて。]
下の
名詞を表現せず、「…のもの」「…のこと」の表す
1-5.
形容詞に「さ」の付いたものを下に伴って、それとともに感動を表す。]
…が…(であることよ)。
1-6.
[連体句同士を結んで、その上下の句が同格であることを表す。]
(なもの)であって(なもの)。
1-7.
[「からに」「ごとし」「ままに」「まにまに」「むた」「やうなり」などの上に置かれて連用修飾語を作り、その内容を示す。]
その激流は人の無力をあざわらうがごとく、ごうごうと流れ続けていた
1-8.
指示語に付いて、接続詞のように用いる。]
それがですね、ぜんぜん違う話だったんですよ
2.
接助
1-4.の用法から発達して院政時代から見られ、
中古末期に確立した。活用語終止形(古語では連体形)に付く。]
2-1.

単に前の句をあとの句へつないだり、前置き・補足的説明などを後に結びつけたり、時間的前後・共存など、それらの時間的関係を表したりする。
カラスがいたのでしばらく見ていたが、なかなかかわいらしいしぐさをしていた すみません/申し訳ありませんが、少々/しばらくお待ちください。Извинете, но бихте ли изчакали малко? もうご存知かもしれませんが/既にご存知のこととは思いますが、一応説明させていただきます。Може би вече знаете/ Предполагам, че вече знаете, но позволете ми да обясня. 次に予算に関する議題に移りますが、時間の余裕がありませんので、できれば今日中に結論を出してください
2-2.
対比的な関係にある二つの事柄を結びつけ、既定の逆接条件を表すけれども
昼は日に日に暖かくなってきたが、朝晩はまだ冷える。През деня с всеки ден става все по-топло, но сутрин и вечер все още е студено. 急いで行ったが、間に合わなかった。Бързах,но не успях навреме. お気持ちはありがたいが、今回は遠慮したい
2-3.
[推量の助動詞に付いて「…うが」「…まいが」の形で。]
それに拘束されない、どんな事柄でもかまわない、の
表す3-4-1.
彼に会おうが会うまいが、私の自由でしょ。Дали ще се видя с него или не, си е моя работа, нали? あなたに何を言われようがもう気にしないわ。Вече не ме е грижа какво ще ми кажеш. そうだ、行こうが行くまいが、君の勝手だ、僕は止めない でも、それでどうなろうが僕の知ったことではないからね
3.
終助
[1.から転じたもの。
体言および体言的なものや活用語終止形に接続する。3-1.は接続助詞「が」でとめ、下を省略した形から生じた用法。3-3.は「てしか」(てしが)「にしか」(にしが)の「か」「が」と関係づける説もある。]
3-1.

言いさしの形で用いる。
3-1-1.
事実と反対の事柄や実現しにくい事柄が実現するのを願う気持ちを表す。詠嘆的な気持ちが加わる。「…がなあ」の形をとることが多い。女性は「けど(なあ)」の方をよく使う。
電車が遅れなければいいがなあ 無事でいてくれればいい(のだ)が
3-1-2.
はっきり言うのをためらい、遠回しに述べる気持ちを表す
こちらのほうがよろしいと思いますが。Мисля, че това е по-добре, но... 今日は、早く帰りたいのですが。Бих искал днес да си тръгна рано...
3-1-3.
不審の気持ちを表す
おかしいな、8時に集合のはず(なん)だが あれ、さっきまでここにいた(のだ/はずだ)が
3-2.
[多く体言体言の下にののしる意の接尾語」を伴ったものに付いて。]
ののしりの感情を強める。
この馬鹿/あほう/大馬鹿物が こいつ/あいつが
3-3.
助詞」に付き、多くは下に感動の助詞「な」「も」などを伴って。]
感動を込め、実現できそうもない願望を
表す。があったらなあ。であってほしいなあ。→もが・もがな

が[接続詞]

用例

1-1.
兼行《かねゆき》書ける扉
 このあいびき先年仏蘭西《フランス》死去した露国では有名な小説家ツルゲーネフという端物《はもの》です今度徳富先生依頼訳してみました訳文我ながら不思議とソノ何んだこれでも原文きわめておもしろいです
 九月中旬というころ一日自分さる座していたことあッた今朝から小雨降りそそぎその晴れ間にはおりおり生ま煖《あたた》かな日かげ射してまことに気まぐれな空ら合いあわあわしい白ら雲空ら一面棚引くかと思うとフトまたあちこち瞬く間雲切れしてむりに押し分けたような雲間から澄みて怜悧《さか》し気《げ》に見えるごとくに朗《ほがら》かに晴れた蒼空のぞかれた自分座して四顧してそして傾けていた木の葉頭上幽《かす》かに戦《そよ》いだその聞たばかりでも季節知られたそれ春先するおもしろそうな笑うようなさざめきでもなくゆるやかなそよぎでもなく永たらしい話し声でもなくまたおどおどしたうそさぶそうなお饒舌《しゃべ》りでもなかッたただようやく聞取れる聞取れぬほどしめやかな私語であったそよ吹く忍ぶように木末伝ッた照る曇るじめつくようす間断なく移り変ッたあるいはそこありとあるすべて一時微笑したように隈なくあかみわたッてさのみ繁くないほそぼそとした思いがけず白絹めくやさしい光沢《つや》帯び地上散り布《し》いた細かな落ち葉にわかに映じてまばゆきまでに金色《こんじき》放ち頭《かしら》かきむしッたような「パアポロトニク」(類いみごとなしかも熟《つ》えすぎた葡萄めく帯びた際限なくもつれからみして目前透かして見られた
ツルゲーネフ作、二葉亭四迷訳「あひゞ」1888、冒頭
1-2.
さかづきたべたいと申して参られてござる
狂言「老武者」)
1-3-1.
1-3-2.
上《かみ》[=上級]上はうちおきはべりぬ
 頼山陽寛政十二十一月三日安藝国広島国泰寺裏門杉木小路《すぎのきこうぢ》春水屋敷入れられ享和十二月六日まで屏禁せられて居り文化五月九日至つて、「門外為仕度段《つかまつらせたきだん》、存寄可被仕候《つかまつらるべくそろ》」と云ふ浅野安藝守重晟《しげあきら》月番達しに依つて釈《ゆる》された山陽二十一から二十六至るである疇昔《ちうせき》より山陽作るもの幽屏前後亘る情実知る困《くるし》んだ森田思軒も亦明治二十六七頼山陽時代草した同一難関出逢つたのである
森鷗外伊沢蘭軒」1916-17、冒頭
1-3-3.
この二三年うちの事なるべし
1-3-4.
明日日、眼《まなこ》をふさぐとも
1-3-5.
象潟や雨に西施ねぶの花
松尾芭蕉奥の細道」1702)
1-4.
この歌はある人のいはく、大伴のくろぬしなり
(「古今和歌集」913)
1-5.
塵泥《ちりひぢ》の数にもあらぬ我ゆゑに思ひわぶらむ妹《いも》かなしさ
1-6.
1-7.
吹く風の見えぬごとく跡もなき世の人にして
たけき河のみなぎり流るるごとし
2-1.
3-1-2.
なるほどさう聞きや、おまへのがほんまにもっともらしい
滑稽本式亭三馬浮世風呂」1809-13)
3-2.
敵《かたき》の回し者め
歌舞伎並木正三「幼稚子敵討《おさなごのあだうち》」1753)
3-3.
あしひきの山はなくも月見れば同じき里を心隔《へだ》てつ
(「万葉集奈良時代