「ていた(て居た)」用例(1910年代)

28/10/2017 21:19

→「ていた(て居た)

用例

「ていた(て居た)」用例(1913)
 とう/\始末困《こう》じて《かたはら》寝てゐるゆり起した夢心地先程から子供やんちやそれなだめあぐんだ良人意識ゐた夜着感ずる警鐘聞いた消防夫敏捷さを以て飛び起きた然し意識ぼんやりしてするでもなくそのまゝ暫くぢつとして坐つゐた
 
いら/\した然し直ぐ正気返らした急に重味取り除《の》けられた感じながら立上つて小さな寝床行つた布団から半分乗り出して子供寝かしつけ居たでなければ子供承知しないのだと云ふこと簡単に告げてもぐり込んだ真夜中寒さ両方やうにゐた
有島武郎「An Incident」1914冒頭
 
七十近い一しょ寂しい寺領奥の院自由に暮したそのときもう十七なっいた
 
好きであった奥庭覆うている新しい若葉湿った揺れる眺めながらよく小さい囲んだものであった暑い日中でも一緒坐っている茶釜澄んだ奥深い謹しみ深い鳴りようかえって涼しく爽やかに感じるのであった
なれた手つき茶筅執る南蛮渡りという重いうつわもの静かにしかも細緻な顫《ふる》いをもってかなり力強く巧みに掻き立てるのであったみるみるうちに濃い液体真砂子《まさご》ような最微な純白な泡沫となってしかも軽いところない適度重さ湛えて芳醇な高い気品こめた香気どもあたま沁み込ませるのであった
 
そのころ習慣なったせいあったその濃い重い液体静かに愛服するというまでではなかった妙ににがみ甘さ交わったこの飲料好きであったじっとうえ置くようにして味ういつも言うように何となく落ちついたもの精神加わってゆくようになっていつも鎮まるのであった
お前なかなかお茶飲みかた上手くなったいつの間に覚えたのか……」など言ったりした
いつの間にか覚えてしまったんですいつもあなた服んでいる見るひとりでに解ってくるじゃありませんか。」
それそうじゃ何んでも覚えて置く方がいい。」
室生犀星性に眼覚める頃」1919、冒頭