格助詞・終助詞・間投助詞・並列助詞・準体助詞

29/10/2015 06:56

上代からの文節を結《むす》び付《つ》け連体修飾語を作《つく》る1-1.が本来《ほんらい》の用法1-7.は、断定《だんてい》の助動詞連用形とする説《せつ》もある。2.5-2.から派生《はせい》したもので、近世以降の用法2-5.および3.中世後期以降の用法.は中世以降の用法5.1.から派生したものであるが、5.1.用法はすでに上代からみられる。]
1.
格助
名詞形容詞形容動詞語幹副詞副助詞接続助詞」 「ながら」などに付く。]
[古語で1-12.が人を表す語に付く場合、その人に対する敬意を含んでいることが多い。また、1-2.1-1.の用法から転じたといわれ、現代語では、「枝の折れた木」「老朽化の激しい校舎」のように、「何のどうする(どんな)何」という形で用いられる。]
1-1.

連体修飾格《れんたいしゅうしょくかく》として諸種《しょしゅ》の
関係表す
1-1-1.

所有《しょゆう》を表す。の持《も》つ。のものである。изразява притежание/принадлежност
私の本моя книга 会社の寮фирмено общежитие
1-1-2.
所属《しょぞく》を表す。に属《ぞく》する。のうちの。
小学校の先生учител в начално училище 財務省の事務次官
1-1-3.
所在《しょざい》を表す。にある。にいる
大阪の友人приятел от Осака 空の星звездите на небето
1-1-4.
行為《こうい》の場所《ばしょ》を表す。における。での。
異国の生活にも慣れた。Свикнах с живота в чужда страна.
1-1-5.
を表す。における。
12月の中旬средата на декември
1-1-6.
作者《さくしゃ》・行為者《こういしゃ》を表す。の作った。のした。
漱石の短編 校長の話
1-1-7.
関係資格を表す。にあたる。としての。
友達の鈴木君приятелят ми Судзуки 孫の太郎внукът ми Таро
1-1-8.
性質《せいしつ》・状態《じょうたい》・状況《じょうきょう》を表す。の様子の。(の状態)である。
瀕死《ひんし》の重傷смъртоносна рана 黄色/縦じまのシャツжълта риза/риза на вертикално райе 緊急の用事спешен ангажимент 作業中の工事車両 賛成の方は挙手をお願いします。Моля, съгласните да вдигнат ръка.
1-1-9.
材料《ざいりょう》
を表す。で作った。を使っての。посочва материала, от който е направено нещо
木造の家дървена къща
1-1-10.

名称《めいしょう》・
人名《じんめい》を表す。という名の。という。
富士の山 三河の国
1-1-11.
数量《すうりょう》・順序《じゅんじょ》を表す。…番目の。
多くの船
1-1-12.
対象を表す。に対する。
反乱軍の鎮圧に成功する
1-1-13.
目標《もくひょう》を表す。のための。
お祝いのプレゼント
1-1-14.
比喩《ひゆ》を表す。のような。
花の都
1-2.
動作《どうさ》・作用《さよう》・状態《じょうたい》の主格《しゅか く》・対象語格《たいしょうごかく》を表す
交通の発達した地方 花の咲くころ 背の高い人 彼の助言で助かった 煙草の吸いたさを我慢する お酒の飲みたい人はこっちにかたまって座って下さい
1-3.
[「ようだ」「からに」「ごとし」「まにまに」などの上に付いて。]
その内容 を表す。
綿のような雲облак, подобен на памук
1-4.
同格の関係を表す。現代語では「ところの」「との」の形をとることがある。
ビールのよく冷えたの、ある?Има ли добре изстудена бира? 母からよろしくとのことです
1-5.

連用修飾格を表す。
1-5-1.
比喩を表す。のように。また、「ごとし」「ようだ」「こと」などを続いて 言って、実質・内容を表す。
さくらんぼのような唇устни като череши よって件《くだん》の如し
1-5-2.
[多くは「さまの」の形でサ変動詞に連なって。]
動作の対象を表す。「を」。
1-5-3.
[下に「ともに」「むた」などを伴って。]
その内容を表す。「と」。
1-6.
序詞などで用いて。]
「のように」の意味で、下の用言にかかる。
1-7.
叙述を途中で言いさして、後に続ける。
1-8.
格助詞」が撥音「ん」の直後に付いて、連声によって「の」の形をとっ たもの。
格助詞に同じ。 中世後期から近世へかけての語で、狂言平曲などに多くみられる。]
2.
終助
活用語連体形に付く。終助詞の「の」は、
近世後期以降用いられ、現代語ではうちとけた対話に用いられることが多い。ただし、感動の意の2.5.だけは中世後期にはすでに用いられ、 現代語では古風な表現に用いられる。]
2-1.

[下降調のイントネーションを伴って。]
断定の言い方を和らげる意を表す。多く、女性が使用する。
ごめん、全部食べちゃったの。Извинявай, всичко изядох. 結局だめだったの。В крайна сметка не стана. 少しお願いしたいことがあるの。Искам да те помоля нещо. あいにく父はいま留守ですの。За съжаление баща ми не е вкъщи в момента.
2-2.

[上昇調のイントネーションを伴って。]
質問または疑問の意を表す。「のか」の形をとることもある。с възходяща интонация изразява въпрос
なぜ行かないの(か)。Защо няма да ходиш? こんなこと、誰がやったの(か)。Кой направи това? おいしくないの(か)。Не е ли вкусно? なぜなの(か)。Защо? ねえ、行かないの(か)。Няма ли да ходиш?
2-3.

念を押す、あるいは確認する意を表す。女性の場合「のね」などの形をとることもある。
そうか、会いたくないの(ね) ふうん、ほんとうだったの(ね)
2-4.
[強いイントネーションを伴って。]
強く決めつけて命令する意を表す。女性 の場合「のよ」などの形をとることもある。
さあ、早く寝るの(よ)。Хайде, заспивай бързо! 文句言わないで歩くの(よ)。Ходи без да мрънкаш! そんなことを言わないの。Не говори така! ゲームばかりやってないで勉強するの(よ)
2-5.
同意を促したり念を押したりするような気持ちで、詠嘆・感動の意を表 す。だね。だなあ。
しばらく見ないうちに、ずいぶん大きくなったの 生きるというのはなかな か大変なことでござるの 仲のよいことだの
3.
間助
[現在ではやや古めかしい言い方にのみ用いられる。]
文節の切れ目に付く。語勢を整える意を表す。ね。
そうしての、とうとう死んでしまったとさ
4.

並助
4-1.

並列・列挙を表す。だのだの。
なんのかのと理由をつけて彼はよくうちに来る 暑いの寒いのと文句ばかり言う奴だ 行くの行かないの子どもがごねている
4-2.

[「の…ないの」の形で用い、「の」「ないの」のそれぞれ前に同じ形容詞を伴って。]
程度が甚だしい、という意を表す。
寒いの寒くないのって、唇まで凍るかと思うほどだったよ 痛いの痛くないのって涙が出るほどだった 言ったの言わないのと水掛け論が続いた
5.

準体助
5-1.

体言に付く。]
名詞に準ずる意味に用いられ、「のもの」「のこと」の意を表す。
私のはどれですか 友達のを借りた
5-2.
活用語連体形に付く。]
その語を
体言と同じ資格にする。また、「のだ」「のです」「のだろう」などの形で、確信的な断定・推定を表す。
もう少し大きいのはありませんか。Имате ли малко по-големи? 結局行くのは誰?В крайна сметка кой ще ходи? 彼女にやらせるのはまずいよ 私がお願いしたのはそんなことではありません。Помолих те не това. 実は彼がやったんだ。Всъщност той го направи.

のだのだろうのです
のよ

用例

1-1-1.
後徳大寺大臣《おとど》寝殿
1-1-2.
夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲いづこに月やどるらむ
(「古今和歌集」913)
1-1-3.
人々いと多かりけるに合はせて
1-1-4.
八島《やしま》戦にうち勝ちぬ
1-1-5.
蝉《せみ》
1-1-6.
行成大納言《かうぜいのだいなごん》
1-1-7.
妻《め》
1-1-8.
等閑《なほざり》
1-1-9.
葦《あし》御簾《みす》
1-1-11.
皇子《みこ》
1-1-12.
まろ、この歌返しせむ
1-1-13.
急ぎ[=準備]
1-1-14.
ありさりて後も逢はむと思へこそ露命も継ぎつつ渡れ
1-2.
出《い》でたらむ夜は
折節移りかはるこそ、ものごとに哀なれ
1-3.
六日、きのふごとし
1-4.
大きなる柑子《かうじ》の木、枝もたわわになりたるが
ある荒夷《えびす》、恐しげなるが
春日野の雪間をわけて生《お》ひいでくる草はつかに見えし君はも
(「古今和歌集」913)
1-5-2.
おしなべたるやうに人々のあへしらひきこえむは、かたじけなきさまし給へれば
1-5-3.
白雪ともに我が身はふりぬれど心は消えぬも のにぞありける
(「古今和歌集」913)
1-6.
青山を横ぎる雲いちしろく我と笑まして人に知らゆな
1-7.
門出したる所は、めぐりなどもなくて、かりそめの茅屋、しとみなどもなし
1-8.
こなたのいよいよ大名にならせられて、御普請なされう御瑞相《ずいさう》に、番匠 《ばんじゃう》の音がいたす
狂言宝の槌」)
一すぢながながととほりて剣とぎたてたが如くにてあるそ
(如月寿印「中華若木詩抄」17世紀中頃)
3.
おれは、去年まで五十九だっけが、取って六十 だよ
滑稽本式亭三馬浮世風呂」1809-13)
4-1.
神仙列仙伝神仙通鑑なんどと言うたぞ
桃源瑞仙史記抄」1477)
唐《から》、大和、めづらしく、えならぬ調度ども並べ置 き
 越後三条生れなり兼ねたり伯父春庵とて医師なりよりは伯父愛せられて幼きより手習学問こと皆な伯父世話なりし自ら言う異ななれど物覚えよく聞て二三知るほどなりしゆえ伯父なお入れてこのこそ穂垂という苗字知らせまたその生国としてこのをも挙るものなれとていよいよ珍重して教えられ逢えばその吹聴さるる嬉しき思いますます学問入れしゆえ神童言われ十三小学校助教なれり名誉伯父面目ためには三条町幅狭きようにてこのばかりか近郷褒め草ある県令学校巡廻あり講義聴かれて天晴慧しきかなこれまで巡廻せし学校生徒うち比べるなし校長語られたりこの洩れ聞きてさてはこの冠たるのみならず新潟県下第一俊傑なりしこの県下第一ならば全国英雄集まる東京出るとも第二流には落つまじ俄かに気強くなりて密かに我と握りて打笑みたりこの頃考えには学者政治家などという区別考えなく豪傑英雄というのみにはありしなりさりければなおさらに学問励み新たに来る教師には難問かけて閉口させにはにも伯父にも開かせぬなり十五新潟出て英学せし教師教うるところ低くして満足せず八大家文読み論語さえ講義天下経綸せんとするオメオメと持つ持つ風船乗ってしつつ廻る児戯に類する学ばんや東京出でばかかるあるまじ深淵あらねば潜れず東京出て我が才識研ぎ驚かすほど大功業建てる天下第一大学者ならん一詩のこして新潟学校去り在所かえりて伯父出京語りし伯父顰め、「東京にて勉学望むところなりしかしまだ早し卑近なりとて知り覚ゆるだけ方便なり二三新潟にて英学なしその上にて東京出でよ学問にはよらじ上磨きだけ東京にてせよ止められ屈して一年独学したれどはしる如き出京志し弱き手綱繋ぐべきにあらず十七なりし決して伯父乞いもし許されずは出奔せん覚悟様子それ悟りて左まで思わば出京せよ許可得たり
饗庭篁村良夜」1889、冒頭
5-1.
草の花は、なでしこ。唐はさらなり。大和もいとめでたし
せめて、この樽も人を借ってきた