とき(時)

02/03/2016 07:22

アクセント:とガ]
1.
過去から現在、現在から未来へと、一方的また連続的に限りなく流れ(過ぎ)ていくと考えられているもの。空間とともに、一切の出来事がそこで生起する枠のように考えられているもの。物事の変化・運動によって認識される。時間。време
時が流れるвремето тече 時がたつвремето минава 時を刻むизмервам времето 遊びに興じて時の経つのも忘れるзабавлявам се и (дори) забравям,че времето минава
2.

時法によって示される、1日のうちの特定の時点や時間帯。また、その時法に基づく単位時間。時刻。刻限。日本では明治6年(1873)以来、平均太陽時によって一昼夜を24等分し、太陽が子午線を通過する時刻の12時間前を零時とする時法が行われている。また一般に、24時を午前・午後の12時ずつに分けて、零時を午前零時、12時を午後零時とよぶ慣習もある。昔の時法には、1日を12等分するため一時《いっとき》が今の2時間に当たる定時法と、昼夜を別個に等分する不定時法とがあり、単位時間の長さは、不定時法では季節や場所によって異なり、例えば江戸(東京)の夏至頃の昼の一時
《いっとき》は約2時間40分、夜のそれは約1時間20分で、1時間以上もの差があったた。定時法は古代律令時代には既にあり、漏刻(水時計)を用いて1日を12等分し、各時刻に十二支を配して、鼓や鐘を鳴らして時を告げた。真夜中の子《ね》の刻に9回、丑《うし》の刻に8回という具合に一時《いっとき》ごとに一打減らすもので、そのため、昼夜の各時刻を九つ…四つとも表した。近世になると、昼夜をそれぞれ6等分する不定時法が広く行われた。時刻の表し方は古代と同様であるが、各時刻はさらに2等分されて半と呼ばれたり、3等分されて上・中・下とばれたりした。
3.

時間の流れの一点。時刻。また、時刻を知らせること。време/час

時の/を告げる鐘 時をつくる 時鐘
4.

或る時期。време, период от време
4-1.
関心がおかれている時代や年代。時世。ころ。
時は幕末、所は江戸 時の首相/権力 三代将軍家光の時
4-2.
季節。時候。時節。време, сезон
紅葉の時 時の物でもてなす 時なし大根 時は春
5.

時勢
。世の成り行き。
時に身をまかせる 時に従う
6.

何らかの状況を伴った、時間のひと区切り。
6-1.
或る状況を伴った時間を抽象的にいう。様々な状況を念頭に置いた、不特定の時期。場合。
時に応じた判断/方策 どんな服装がよいかも時と場所による。Това ккави дрехи са подходящи, зависи от времето и мястото.
6-2.
状況が明示できない、漠然と捉えられた或る時点、時期。
時には失敗もある 時には酒を飲む 時としてそんなことも起こる 時として不調になることもある
6-3.
或る状況を仮定的・一般的に表す。…場合。
もし彼が不在の時には、どうするか 頭痛がする時はこのお茶を飲むとよい
7.

7-1.
ちょうどよい機会。好機。何かをするのに都合のよい時勢。時期。(точно) време,(точен, удобен,подходящ) момент за
しかるべき時を待つ 逆転の時をうかがう 時に遭《あ》う 時を見て実行する 時にかなう
7-2.
[「」とも書く。]
重要な時期。
危急存亡の時
8.

わずかな間。一時。また、当座。臨時。

時借り 時貸し
9.

定められた期日。期限。

時を切って金を貸す 返済の時が迫る
10.

[行為や状態を表す連体修飾語を受けて。]
10-1.
或る特定の動作や状態が起こる時間。おり。
家に着いた時、母はいなかった 幼稚園の時は、やんちゃ坊主だった 子供の時の思い出
10-2.
或る状況を仮定的に表す。おり。場合。
地震の時はどうしよう
11.

[「どき」の形で名詞
動詞連用形付い接尾語に用いて。
まさにその時期。また、それにふさわしい時期、或いはそういう状態の時間であることを表す。時代。時刻。時間帯。時節。季節。時機。機会。

食事どきで店が混む 今どきの若者 会社の退け時 たそがれ時 かはたれ時 花見時 木《こ》の芽時 梅雨時《つゆどき》 書き入れ時 売り/買い時 引き上げ時
12.

「時制《じせい》」に同じ。
13.

陰陽道《おんようどう・おんみょうどう》で、事を行うのに適した日時。暦の吉日。

14.

天台真言などの密教で行う、定時の勤行。時の修法。

→刻《こく》・
ときじ(時じ)・時しも・時として・→時に・時有り・時移り事去る・時が解決する・時知らぬ山・時知る・時知る雨・時とすると・時と場合・時無し・ときに(時に)ときには(時には)・時に遇う・時に遇えば鼠も虎となる・時に当たる・時に従う・時に取りて・時に因る・時の代官/大将日の奉行・時の用には鼻をも削ぐ・時は得難くして失い易し・時は金なり・時は人を待たず・時を争う・時を失う・時を移さず・時を得顔・時を得る・時を稼ぐ・時を奏す・時を撞く・時をつくる・時を待つ

用例

1.
  寝ようと思って次の間出ると、炬燵臭《におい》ぷんとした帰りに、強過ぎるようだから気をつけなくてはいけない妻《さい》注意して自分部屋引取ったもう十一過ぎているごとく安らかであった寒い吹かず半鐘応えなかった熟睡世界盛り潰したように正体失ったРеших да си лягам и като излязох и минах в стаята, прилежаща на дневната, миризмата от огъня в печката котацу ме блъсна в носа. На връщане от тоалетната предупредих  жена си, че огънят е прекалено силен и трябва да внимава и се оттеглих в стаята си. Вече минаваше единадест. Сънят ми бе както винаги спокоен. Макар и студено, не духаше и вятър, и звънът от сигналната камбана не дразнеше слуха ми. Изгубих съзнание, сякаш дълбокият сън до припадък бе опиянил света на течащото време.
夏目漱石「泥棒」『永日小品』1909、冒頭、В превод на Агора София, 2011)
 かんけりかん思いっきりけっとばすとき気持ちいいんだ小六男の子いう中心置かれたあきかん吸い寄せられるようにして物陰から物陰へと忍び寄っていく見せたオニとの距離見切ったときもうからだ物陰からとび出しているオニ猛然と迫ってくるオニからだほとんど交錯するようにしながら一瞬早くあきかん横腹蹴るあきかん空中ゆっくり描いてくるりくるりと舞うときとまれでも叫んでしまいそうな快感押し寄せる同時にという何ものかなく抜け出していきとても身軽になったからだだけ残されるもっともいつもそんなにうまく蹴れるわけではないしばしばかんさわがしいたてながら舗道転がっていったり二、三メートル芝生ぽとんと落ちてとまったりするそれでもかん蹴った喜び変りない
 小六少年またいうかんけり隠れているときとっても幸福なんだなんだか温かい気持ちするいつまででも隠れていてもう絶対に出て来たくなくなるんだ管理塔からの監視死角隠れているとき一人であってもあるいは二、三いっしょであっても羊水包まれたような安堵感生まれるいうまでもなくこの籠り管理社会した市民社会からのアジール避難所創建身ぶりなのだ市民社会からの離脱内閉においてかいこまゆつくるようにもう一つコスモス姿現してくるそれ胎内空間にも似て根源的な相互的共同性充ちたコスモスである大人子どもそこで見失った自分なる子ども〉、〈無垢なる子ども再会するのである
 小六男の子最後もう一つつけ加えていうかんけり、「オニ違ってほか救おうとする自分救われたいけれどつかまった仲間助けなくちゃって夢中になるのが楽しいだけどオニ大変だオニ気の毒だから何回かかん蹴られたら交替するんだ実際かんけりでは隠れた誰もオニ見つかって市民社会復帰したいとは考えない運悪く捕われても勇者忽然と現れて自分救出してくれること願っている隠れた囚われた奪い返して帰って来ようとするのはつねにアジール市民社会例外的領域であるオニ気の毒であるのはオニ最初から市民社会住人であるかぎり隠れた何人見つけてもそのこと自分市民社会復帰するドラマ経験しようがないからである隠れる市民社会では囚われ人以外ではなくしたがってオニ管理者であることやめることはできない
(小西敏正「平成日本らしさ宣言」2009)
2.
  
立つ立つもう過ぎた。食事支度女中言いつけてあるが、食べる言われるか、どうわから思ってよめ聞き行こうと思いながらためらってた。もし自分だけ食事ことなぞ思うように取られはまいかとためらってのである
森鷗外阿部一族」1913)
4-2.
 昨日所謂彼岸中日でした吾々やうに田舎住むもの生活これから始まるといふです東京市中離れた此の武蔵野最中住んで居るから今日片寄せてある取り出してこの楽しむ為に根分しようとして居るところです実は久しいこと作つて居るのであるが二三年間思ふあつてわざと手入れしないで投げやりに作つて見た一体と云ふもの栽培法調べて見る或は菊作り秘伝書とか植木屋口伝とかいふものいろ/\とあつてなか/\面倒なものですこれほど面倒なものとすれば到底素人には作れないと思ふほどやかましいものですそして色々な秘訣守らなければ存分に立派な作られないといふことなつて居るところが昨年一昨年あらゆる菊作り法則無視して作つて見たたとへば早く根分けすること植ゑるには濃厚な肥料包含せしめなければならぬことなるべく大きなもの用ゐること五月七月九月摘まなければならぬこと日当りよくすること毎日一回乃至数回与へなければならぬことなつて肥料追加雑草除くことなどまだ/\いろ/\心得あるにも拘らず二三まるでやらなかつた根分やらず小さい植ゑた儘で取り替へせず摘まず勿論途絶え勝であつた云はゞあらゆる虐待薄遇とを与へたのだそれでもなるらしくそれ/″\出て綺麗な相当に優しい見せてくれたそれで考へて見れば栽培といつても絶対的に必須なものでもないらしい手入れすれば勿論よろしいしかし手入れ無くとも咲く植木屋などよく文人作りなどつけて売つて居るのはなどから見ればいつも少し出来過ぎて居てかへつて面白くない咲いた天然美しさより多く惹かれぬでもない
会津八一/會津八一(1881-1956)「根分しながら冒頭
9.
  
阿部一族評議このたび先代一週忌法会ために下向してまだ逗留している天祐和尚すがることにした。市太夫和尚旅館往って一部始終話して、権兵衛に対する処置軽減してもらうように頼んだ和尚つくづく聞いて言った承れば一家成行気の毒千万であるしかし政道に対してかれこれ言うことは出来ないただ権兵衛殿死を賜わるとなったらきっと助命願って進ぜようことに権兵衛殿すでに《もとどり》払われてみれば桑門同様身の上である助命だけいかようにも申してみようと言った。市太夫頼もしく思って帰った一族もの市太夫復命聞いて一条活路得たような気がしたそのうち立って、天祐和尚帰京とき次第に近づいて来た和尚殿様逢ってするたび阿部権兵衛助命こと折りあったら言上しようと思ったどうしても折りないそれそのはずである。光尚こう思ったのである。天祐和尚逗留権兵衛こと沙汰したらきっと助命請われるに違いない大寺和尚《ことば》でみれば等閑に聞きすてることなるまい和尚立つ待って処置しようと思ったのであるとうとう和尚空しく熊本立ってしまった
森鷗外阿部一族」1913)
10-1.
暦の博士召して、とき問はせなどし給ふほどに
紫式部源氏物語平安中期
14.

その夜行幸にて侍りしかば、暁の御
ときひきあげて 
(「
弁内侍日記」13世紀半ば)